“THE RESTAURANTS” Short Story
幼い頃、よく両親に連れて行ってもらったレストランが有る。
目一杯のおしゃれをして、家族みんなで過ごす時間が
たまらなく好きだった。おいしい料理と弾む会話、幸せなひと時。
『このままずっと時間が止まればいいのに…』
小さな体で溢れるほどの幸せを感じていた。
彼女と初めてのデートで食事をしたのもそのレストランだ。
デミグラスソースがやけに苦く感じた。
数年後、彼女にプロポーズをした。
何度も2人で足を運んだレストラン、食べ慣れたはずのデミグラスソースだが、
初めてのデートの時と同じ味がした…。
幼い頃の記憶とだぶらせながら、
そのレストランに妻と息子を何度も連れていった。
あれから30余年、
今日は35回目の結婚記念日だ。
毎年結婚記念日にはなじみのレストランでグラスを傾ける。
時を忘れ、互いにシワが深く刻まれた顔を見合わせながら
思い出を語り合う。 その時妻が言った。
「今日のデミグラスソースの味は最高ね」
古くさくはあるがきれいに手入れされたそのレストランは
今日もたくさんの笑顔で溢れていた。
『100年の時を刻むレストラン』
〜世代を越えた人とのつながり〜
これからも続いていくであろう『アメリカ屋』の歴史に、
大切な人との素敵な時間を刻んで頂きたい。
そして心に残る思い出にして頂きたい。
お客様の幸せなひとときに少しでも寄り添うことができれば、
それが私たちレストランターとしての最高の幸せなのです。
感謝